No.106

 化石研ニュース No.106
 2009年10月15日発行

 編集・発行:化石研究会事務局 〒525-0001
 滋賀県草津市下物町1091番地
 滋賀県立琵琶湖博物館 地学研究室内
 TEL. 077-568-4828 FAX. 077-568-4850


   

化石研究会第132回例会のご案内


2009年11月21日(土)〜22日(日)に第132回例会を下記のとおり,豊橋市自然史博物館にて開催します.多くの会員の参加をお待ちしています.

日時:2009年11月21日(土)〜22日(日)
会場:豊橋市自然史博物館 講堂(地図参照)
日程:
◎11月21日(土)
 シンポジウム「古生物の復元」(世話人:松岡敬二・吉川博章,豊橋市自然史博物館)
 13:00     挨拶・趣旨説明
 13:05〜15:15 講演(4講演)
 15:15〜16:00 総合討論
 16:00〜17:00 自然史博物館展示見学
 17:00     JR二川駅より電車にて移動
 19:00〜    懇親会(於:豊橋駅ビル/ホテルアソシア豊橋レストラン「ロジェール」)

◎11月22日(日)
 9:30〜12:00 のんほいパーク(豊橋総合動植物公園)見学会
 12:00 閉会

* 運営委員会は,21日の10:30〜12:30に行います.運営委員,専門委員会委員,事務局の方々は弁当持参でお集まりください.

【第132回例会プログラム】
シンポジウム「古生物の復元」

主旨:古生物の復元といえば,一般には恐竜をはじめとした大型脊椎動物が取り上げられることが多い.博物館でもこうした生物が展示の主役となるが,それ以外の生物でも復元についての多くの研究があり,教育普及的な活動として紹介していくことは重要である.本シンポジウムでは,植物や無脊椎動物の復元について紹介し,博物館の調査研究,教育普及,展示活動にどのように取り入れ,来館者にどのように伝えるのかについて論議する.

日時:11月21日(土)
13:00−13:05 挨拶
13:05−13:35 【講演1】「博物館にみる無脊椎動物の復元」松岡敬二(豊橋市自然史博物館)
13:35−14:05 【講演2】「古植物の復元―部分から全体像をイメージする展示」吉川博章(豊橋市自然史博物館)
14:05−14:15 休憩
14:15−14:45 【講演3】「謎の生き物エディアカラの化石の復元にチャレンジ」大野照文(京都大学総合博物館)
14:45−15:15 【講演4】「例外的に保存された節足動物の眼の化石とその復元」田中源吾(群馬県立自然史博物館)
15:15−16:00 総合討論
16:00−17:00 館内見学

シンポジウム内容

「博物館にみる無脊椎動物の復元」 松岡敬二(豊橋市自然史博物館)
 平成13年度から取り組みを行った豊橋市自然史博物館の古生代展示室と中生代展示室の展示物に関連して製作した無脊椎動物復元模型を中心に紹介する.

「古植物の復元―部分から全体像をイメージする展示」 吉川博章(豊橋市自然史博物館)
 植物化石は葉,幹,種など部位ごとに分かれて産出するため,全体の形をイメージしにくい.来館者にわかりやすい展示を行うため,どのような工夫を行っているのかを紹介する.

「謎の生き物エディアカラの化石の復元にチャレンジ」 大野照文(京都大学総合博物館)
 エディアカラ化石生物群に関するロシア科学アカデミー古生物学研究所との共同研究の成果に基づいて,京都大学博物館で制作された立体復元模型について紹介する.

「例外的に保存された節足動物の眼の化石とその復元」 田中源吾(群馬県立自然史博物館)
 「カンブリア紀の生物大進化」のきっかけとなったひとつに「眼の誕生」があげられる.しかし,通常,眼が化石として保存されることは極めてまれである.本講演では例外的に保存された節足動物の眼とその進化学的な意義について議論する予定である.

「のんほいパーク見学会」
日時:11月22日(日) 午前9時半〜12時
内容:のんほいパーク(豊橋総合動植物公園)の見学
   植物園,動物園のバックヤードを中心に豊橋総合動植物公園の齋藤富士雄園長に案内していただきます.旭山動物園が行動展示の参考としたシロクマを飼育展示する極地動物館や新たに加わったサルデッキなどがあります.

申し込み:のんほいパークへの入園許可が必要のため,懇親会の参加確認も含めて,事前申込みをお願いいたします.次ページの様式でご記入の上,FAX(0532-41-8020)または,メール(sizensi@toyohaku.gr.jp)にて豊橋市自然史博物館(吉川さん宛て)にお申込みください.折り返し,入園許可証をお送りいたします. 懇親会費は3,500円です.

(化石研究会第132回例会 参加申込書様式)
参加者名 所属・連絡先 参加日程
(参加されるものに○)

21日(土)
シンポジウム

懇親会
(3500円)
22日(日)
見学会
  〒    −   



 (電話          )
     

宿泊案内:のんほいパーク周辺には宿泊施設がありません.豊橋駅周辺にはいくつかホテルがありますので,そちらをご利用ください.豊橋駅から二川駅までは電車で約5分です.

交通案内

・電車ご利用の場合
  JR豊橋駅から東海道本線浜松方面行きの電車で約5分,JR二川駅で下車.
  二川駅南口より徒歩約15分(のんほいパーク東門より入園)

・車ご利用の場合
  静岡方面から浜松ICより国道1号線(浜名バイパス経由)を豊橋方面へ約1時間『動植物園入口』の信号を左折
  名古屋方面から豊川ICより国道151号線を小坂井方面へ約10分『宮下』の信号を左折後,国道1号線を静岡方面へ約30分『動植物園入口』の信号を右折
  名古屋方面から音羽蒲郡ICより国道1号線を静岡方面へ約50分『動植物園入口』の信号を右折

 * 駐車場は無料(約1700台).車の場合は,のんほいパーク中央門がもよりの入口となります.
 *できるだけ公共交通機関をご利用ください.
 *豊橋市自然史博物館のホームページ(http://www.toyohaku.gr.jp/shizensi/)

[地図]


化石研究会第27回総会・学術大会(創立50周年記念大会)報告

 2009年6月13日(土),14日(日)の両日,鶴見大学歯学部において第27回総会・学術大会(創立50周年記念大会)が開催された. 13日には,「化石研のあゆみ」をテーマとする記念講演,「化石研究会における研究活動の成果」をテーマとするシンポジウム及び記念祝賀会が行われた.翌14日には,前日に引き続きシンポジウムが行われ,また,ポスター発表,特別展示会も実施された.
 大会は,神谷会長の挨拶に続き,化石研創設期の会員で会の発展に寄与された方々への感謝状と記念品の贈呈で始まった.記念講演では,化石研創設期のメンバーである大森昌衛・秋山雅彦の両名から化石研の歴史について話があり,化石研の50年にわたる歴史や草創期の熱い思いを知ることができた.
 シンポジウムでは,「化石研究会における研空活動の成果」を振る返る上で,化石研の「3本柱」である「化石の形態学的研究と古生態の研究」,「化石の微細構造の研究」,「進化・進化論の研究」の3つの大きなテーマに分け,6講演が行われた.
 「化石の形態学的研究と古生態の研究」では,犬塚則久氏による創設者井尻氏と3本柱の関係とご自身の研究テーマである骨の機能形態学的研究,そして仮説の識別について幅広い内容で講演された.また,小幡喜一氏は,地団研発足から化石研発足までの歴史と無脊椎動物の生痕化石研究についてのこれまでの研究成果をまとめられた.「化石の微細構造の研究」では,小林巌雄氏から化石研の微細構造グループ,特に二枚貝の貝殻構造の研究についての自信の研究を総括した発表があった.また,笹川一郎氏からは,化石の歯の微細構造研究を振り返り,自身の研究テーマである硬骨魚類の歯の微細構造の発生についての発表があった.最後の「進化・進化論の研究」では,田崎和江氏から,バイオミネラリゼーションと進化,特に微生物の進化にについて講演があった.また,白井浩子氏は,井尻氏の進化に関する論述を取り上げ,自身の説である余剰進化論について発表された.以上,それぞれ演者の方々が,ご自身の専門的立場から,化石研の歴史やご自身との関係を紹介されたことで,50年もの伝統ある化石研の歴史の重みを感じることができた.
 シンポジウム終了後,鶴見大学歯学部付属病院レストランにて,記念祝賀会が盛大に催された.こちらも,新旧の会員が集い,会話が弾み,親交をより深めることができた.

 

大森昌衛会員の記念講演
 翌14日も,前日と同様に化石研の「3本柱」をテーマとして,シンポジウムが開催され,7講演が行われた.
 「化石の形態学的研究と古生態の研究」では,青木良輔氏による現生のワニと恐竜の頭骨の比較について発表と三枝春生氏による長鼻類臼歯の形態変化から咀嚼様式の進化について講演が行われた.「化石の微細構造の研究」では,佐俣哲郎氏によるバイオミネラリゼーションの現在と有機基質の機能解析・医療への応用についての話と筧光夫氏の様々な脊椎動物の歯を比較した,石灰化機構についての講演があった.「進化・進化論の研究」では,後藤仁敏氏の日本産軟骨魚類の歯化石を通して軟骨魚類の進化を概説,野村正純氏の石川県七尾と長野県上田市での古環境復元について発表,そして小寺春人氏のサルからヒトへの進化における身体構造,特に神経系の変化についての発表があった.以上の7題は,それぞれの分野における最新の知見に基づいており,会員にとって良い刺激になったと思う.
 また,別の部屋ではポスター11題の発表も行われ,各ブースで活発な意見が交わされていた.さらに,特別展示会も鶴見大学歯学部解剖実習室にて開催された.展示物として,化石研の歴史資料や井尻正二氏の骨格標本から各種骨格標本や化石にいたるまで,多様な内容となっており見ごたえのある展示であった.
最後に,今回の盛会に終わった創立50周年記念大会の開催に際し,準備された鶴見大学スタッフの方々及び事務局の方々,その他,ご協力頂いた皆様に大変お世話になりました.厚く御礼申し上げます.

(丸山啓志)

 
盛大に行われた記念祝賀会 ポスター会場での討論

事務局・運営委員会だより

■50周年記念出版
 50周年記念行事は講演会,祝賀会,記念出版の3つで進められてきましたが,上記の報告にありますように講演会と祝賀会は盛会のうちに終了いたしました.現在,記念出版を進めております.記念出版は2010年12月末に朝日選書より出版する予定です.編集には犬塚則久,笹川一郎,小寺春人の3名の方々に中心になって進めていただいております.

■50周年記念事業醵金
 50周年記念事業を行うための募金を引き続きお願いいたします.
趣 旨:本年6月の50周年記念総会の行事と,それに続く出版などの記念企画の実施を財政的に援助するため,会員の皆様に醵金をお願いします.
金 額:1口2000円とし何口でも可(端数でも結構です).郵便振替用紙により,郵便局(ゆうちょ銀行)から化石研究会の郵便振替口座に入金してください.なお,2月末に発送された「化石研究会会誌」(41巻2号)に醵金用振替用紙(料金無料)が同封されています.郵便局備え付けの用紙でも可能ですが有料になります.
振込先:郵便振替口座番号00910-5-247262,加入者名:化石研究会
       郵便振替を利用された場合は,振替の受領証をもって受領証とさせていただきます.
募集期間: 2010年3月末日
現在までの醵金者一覧(10月16日現在,敬称略)(醵金者数68人,醵金額497,090円)
堀口萬吉,金 光男,大石 朗,高野武男,吉田唯義,小幡喜一,浅見昭子,北林栄一,長谷川美行,三島弘幸,篠原 暁,野村正純,吉羽興一,寒河江登士朗,秋山雅彦,根本直樹,後藤仁敏,小林昭二,石田吉明,佐藤智子,吉田 尚,田崎和江,鈴木秀史,糸魚川淳二,石井久夫,島口 天,近藤洋一,藤本艶彦,木村方一,岡村喜明,加藤正明,宮崎重雄,北川博道,柴田松太郎,笹川一郎,谷戸 茂,平井明夫,仲谷英夫,中井 均,岩月信一,筧 光夫,吉川義雄,赤木三郎,星見清晴,真野勝友,犬塚則久,小林健介,田中里志, 間島信男,高桑祐司,広田昌昭,福嶋 徹,楡井 尊,岡村喜明,高橋啓一,神谷英利,大森昌衛,白井浩子,古沢 仁,松岡敬二,島本昌憲,大森昌衛,徳永重元,大澤 進,小林巌雄,高橋正志,品田やよい,柴 正博,千代田厚史,堀田信子
■50周年総会集合写真 御希望の方でまだ受け取っておられない方は事務局までご連絡ください.
■次回総会・学術大会 第28回総会・学術大会は,2010年6月ごろに日本歯科大学新潟生命歯学部で開催予定です.
■新役員
 2009年度の役員改選により,犬塚則久,小寺春人,三枝春生の運営委員に代わり
 平山 廉(早稲田大学),吉川博章(豊橋市自然史博)、高桑祐二(群馬自然史博)の3氏が新運営委員となりました.また,会計監査も中島経夫氏から阿部勇治氏(多賀町博)に交代となりました.

■新入会員 吉井孝直(京都大学・院),「 亨(日本大・学),山川千代美(琵琶湖博)

2009年度会費の納入をお願いします
   年会費 4000円(学生2500円)     郵便振替 00910-5-247262 「化石研究会」
   * 3年間会費未納の会員は,除籍となりますのでご注意ください.

編集・発行:化石研究会事務局
  〒525‐0001 滋賀県草津市下物町1091
  滋賀県立琵琶湖博物館地学研究室
  TEL:077-568-4828; FAX:077-568-4850
  e-mail: takahasi@lbm.go.jp (lbmはLBMの小文字)

ホームページhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/frsj/index.htm
●このニュースは,上記の化石研究会のホームページで見られます.
こちらはカラーですので,読みやすく,前号までのニュースも見られます

(化石研究会のHPは2008年10月より国立情報学研究所のサーバーを利用して運営しております)

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