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No.104 化石研ニュース No.104 2009年2月15日発行 編集・発行:化石研究会事務局 〒525-0001 滋賀県草津市下物町1091番地 滋賀県立琵琶湖博物館 地学研究室内 |
化石研究会は1959年に設立され,今年で50周年となります.そこで,来る第27回(通算131回)総会・学術大会を創設50周年記念大会とし,シンポジウムや祝賀会を開催することになりました.この記念すべき大会にぜひ多くの会員のご参加をお待ちしております. ■期日:2010年5月29日(土),30日(日) ■場所:日本歯科大学新潟生命歯学部(新潟市中央区浜浦町1−8) ■プログラム(予定.確定版は次の化石研ニュースに掲載します) 29日 午前(11:00‐12:30) 運営委員会 午後(14:00‐17:00)シンポジュウム 「バイオロジカル ミネラル」 世話人:寒河江登志朗、筧 光夫,笹川一郎 夜(18:00‐20:30) 懇親会 (日本歯科大学内食堂 「スクエアー」) 30日 午前(10:00‐12:00)一般講演 ポスター発表・展示発表 コアタイム 午後(13:00‐16:00)特別講演 奈良貴史さん(日本歯大、人類学) 総会議事 一般講演 第28回総会・学術大会における一般講演,ポスター発表,展示発表を以下のとおり募集します. 一般講演、ポスター発表をご希望の方: [演題申し込み] 締め切り:3月31日 方法:郵送あるいはメールで、講演者名、演題、口演・ポスターの別をお知らせください。 [講演要旨] 締め切り:4月30日 方法:演題、発表者(所属)、要旨をA4版用紙1枚に収まるように記入し(要旨本文は約600字が目安)、メール添付で送付、あるいは完成原稿を郵送してください。 ■日 時:2009年6月13日(土)〜14日(日) ■会 場:鶴見大学歯学部(横浜市鶴見区)・JR京浜東北線「鶴見」下車, 徒歩10分.JR「鶴見」駅は東京駅から電車で約20分です. ■内 容: 1.記念総会・学術討論会 2.記念祝賀会 3.記念出版 化石研究会50周年記念事業のお知らせ(運営委員会) 昨年11月に,兵庫県立人と自然博物館で開催された第130回例会の際の運営委員会において,化石研究会50周年記念事業について具体的な内容が討議されましたので,その概要をお知らせします.会員各位の皆様,ふるってご参加くださいますようお願い申し上げます. 1.記念行事1)講演会
講演会の内容に関連して,印刷物を作成します.今後編集委員会を組織して具体的な作業を進めることになると思います.出版は,記念総会から約1年半後を目指します. (運営委員長 三島弘幸)
■ 総会議事について 期間中の14日(日)午後に総会(議事)を行います. 第4回アジア地区バイオミネラリゼーション討論会のお知らせ 2007年に中国・廈門で開催された第3回に続き,第4回アジア地区バイオミネラリゼーション討論会が今年秋に開催されることになりました. 期 日 2009年11月14−16日 杭州は上海の少し南にある風光明媚な町として昔から内外に知られています.成田や関西空港からの直行便があり,日本人観光客も多い所です. (神谷英利) 第130回例会の報告 2008年11月22日(土),兵庫県立人と自然の博物館において第130回化石研究会例会が開催されました.今例会ではテーマを「日本の陸生脊椎動物化石産出層」と題したシンポジウムが催され,5題の講演と総合討論が行われました. なお,参加人数は30名でした. (黒須弘美)
間島信男のお勧め本の紹介 1.教科書・教科書的な本(大学生以上向け)1)『日本の哺乳類学@−小型哺乳類』 『日本の哺乳類学A−中大型哺乳類・霊長類』 『日本の哺乳類学B−水生哺乳類』 日本哺乳類学会の支援を受けて刊行された全3巻なる参考書で,哺乳類全体を教科書的に網羅して解説しているのではなく,各巻10数名程度の研究者が,実際に自分の行っている研究テーマごとに分担執筆し,日本の哺乳類研究の最前線がわかる構成となっている.(★★★) 2)『種を記載する−生物学者のための実際的な分類手順−』 今回最も強く推薦したい本である.第1部は種の記載と命名法の学史,第2部は種の記載をおこなうのに必要な種の認識のされ方,同定と記載に不可欠な調査の方法,第3部は記載論文執筆法について節ごとに述べてある.第4部では亜種や高次分類群,再記載やシノニムの問題などを取り扱っている.各章の記述は詳しく,非常に質の高いマニュアル本である.記載文の実例は日本語,英語で併記してあり,化石の例も採られている.分類学的記載論文を書くための必携文献である.ぜひ,購入をお勧めする.(★★★) 2.一般普及書(読み物)3)『ヒトの中の魚,魚の中のヒト−最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅−』 著者は,医学部解剖学教室に勤務した解剖学者で古生物学者,最古の四肢を持つ魚類ティクターリクの研究グループの責任者として名高い.本書は,人体が歴史的起源の時期がことなるいろいろな器官から成り立っていることを説いた本である.同様の主旨の本はこれまでに日本でも何冊か出版されているが,本書は,化石の研究,Hox遺伝子,進化生物学の三題噺にまとめている点が近年流行のスタイルを追っている.内容的には,1章,2章のティクターリクの話以外の章は,内容はやや凡庸で,個人的には,これをもっとふくらました内容の本を書いて欲しかった.(★★) 4)『唯臓論』 1999年に風人社から出版された『唯臓論』を文庫化したもので,文庫化にさいしてかなりの加筆,修正がなされている.人体を歴史的な階層の産物としてとらえるという主題は,3)と共通するものがある.さらに,両方の著者とも解剖学教室に勤務する古生物学者という共通性があり,読み比べてみるとおもしろいかもしれない.個人的には,3)よりは本として格段におもしろいと思のだが,如何に.(★★★) 5)『化石の記憶−古生物の歴史をさかのぼる−』 紹介すべきかどうか迷ったがいちおう紹介だけはしておく.化石観の変遷を主題とした古生物学史の本なのだが,学史と呼べるほど内容が成熟しておらず,エピソード集のレベルに留まっている.その辺は本人も承知しており,はじめにやおわりで逃げを打ってある.化石の定義といえば,故井尻正二会員ほど明確に「化石は過去の生物の遺物である」と言い切った人物はいないのに,そのことにふれていないどころか,180度逆の紹介をしている(ようにしか思えない).これには怒りを通り越して,あきれてしまう.日本ではこれまでほとんど知られていなかった研究者の紹介などもあり,惜しい面もある.(★) 6)『ありえない!?生物進化論−データで語る進化の新事実 クジラは昔,カバだった!−』北村雄一[著].ソフトバンククリエイティブ,サイエンス・アイ新書088.206p.(2008年11月)952円+税. サイエンスライターの書いた系統学に関する普及書.分岐論を中心に系統をどう復元するかを考え方の論理に力を入れて平易に解説している.クジラと偶蹄類の関係,鳥類と恐竜,バージェス動物群と「おいしいところ」3つを題材としてとりあげている.(★) 7)『ネアンデルタール人の首飾り』 著者は,スペインのアタプエルカ山地のネアンデルタール人の祖先と目されるホモ・アンテセソールの大量出土遺跡の発掘に長年携わってきた人物である.ネアンデルタール人およびその祖先が中心で,紹介されている遺跡としてはヨーロッパの中期更新世あたりのものが多いが,表題から想像される内容とは異なり,人類進化全般も概括している.ヨーロッパの旧石器遺跡の研究成果を知るには,貴重な本と言える.ただし,たとえばパレオロクソドン・アンティクウスをすべて「ナウマンゾウ」と訳してしまっているなど,動・植物の訳語にはいくつか問題がある.(★★) 3.図鑑・図集・ビジュアル本8)『日本の哺乳類[改訂2版]』 日本列島に生息する土着の哺乳類(クジラ類とジュゴン類を除く)を網羅した写真図鑑で,種の同定,分布,生態などについて,それぞれの専門家が分担執筆でまとめてある.本書は1994年に初版が,2005年に改訂版が出版され,このほど改訂第2版が出版された.図版写真と記述の一部が新しくなっている.(★★) 9)『Jaws of Bony Fishes−硬骨魚類の顎と歯−』 遺跡から出土する魚類の同定のガイドブックとして作られた硬骨魚類の顎骨の比較骨格図集.附録として,鰭の棘もついている.14名が作図を担当し,日本近海から産する195種を掲載している.27年の歳月を費やした労作である.考古遺跡から魚類遺体の同定を目的として作られた本であるが,化石の同定にも役に立つと思われる.(★★★) 10)『下総層群産貝化石図鑑』 下総層群(その昔は広義の成田層などと呼ばれていた)の貝化石は,たいていの理科室や準備室の片隅には眠っている(少なくとも関東地方の学校では),定番の第四紀貝化石である.多くは現生種であるが,いざ,種類を調べようとするとなかなか大変である.本書は,千葉県内の地学の高校教員が,下総層群産の貝化石に的を絞ってまとめた図鑑である.著者は貝化石を専門としていないが,貝類の専門家が監修しており,内容的には信頼できるものである.教員の目線でまとめてあるので,小・中・高の教員や素人が絵合わせで同定するのは,きわめて重宝する一冊となっている.(★★★) 11)『シーラカンス−ブラジルの魚類化石と大陸移動の証人たち−』 北九州市立自然史・歴史博物館で開催された同名の展覧会の図録という性格をもつ.前半はシーラカンス目魚類化石,後半はブラジル産の白亜紀魚類化石が紹介されており,見開きで1種ずつ復元図および化石のカラー写真が図鑑風に配置されている.なお,同展覧会は,2010年夏まで,豊橋市自然史博物館,徳島県立博物館,群馬県立自然史博物館,鳥取県立博物館を巡回するそうである.(★★) 12)『恐竜ハンター』 まず,装丁が大変凝っていて,箱は発掘した恐竜化石を納めている木箱をイメージし,本体の表紙には梱包材に包まれた恐竜の化石の写真が写っており,箱のスリットからそれが透けて見えるというデザインである.本書は恐竜の研究・発掘に大きな足跡を残した人物をメアリー・アニング,ギデオン・マンテルから現代のフィリップ・タケ,ポール・セレーノまで,写真入りで紹介している.本書の最もユニークな点は,当時の手紙,フィールドノート,マップなどの原資料の複製品40数点が附録として,関連箇所に添付されている点である.マーシュの雇われ人がコープに当てて書いた恐竜骨戦争の引き金になったと目される手紙,バーナム・ブラウンがティラノサウルスを発見した時のフィールドノートなどである.こんなものが見られるなんて,いい世の中になったものである.(★★★) (間島信男) 事務局だより ■50周年記念事業のための募金のお願い 50周年記念総会とそれに続く出版などの記念事業の実施を財政的に援助するため,会員の皆様に醵金をお願いいたします. 金 額 1口2000円とし,何口でも可とします(端数でも結構です). 方 法 このニュースに同封の郵便振替用紙により,郵便局(ゆうちょ銀行)から化石研究会の郵便振替口座に入金してください(振込料金無料). 募集期間 第1回締切 2009年6月30日,最終締切2010年3月末日 ■50周年記念に関連する写真や情報の提供 50周年記念事業で使用する化石研の歴史に関する写真や資料,情報を集めています.お持ちの方は事務局までご一報ください.祝賀会,出版物,ホームページなどで使用させていただきます. ■新入会員 小口翔太(京都市) ■2008年度会費の納入をお願いします | ||
編集・発行:化石研究会事務局 ホームページhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/frsj/index.htm |