第43回(通算第160回)総会・学術大会の報告
2025年5月31日(土)~6月1日(日)に第43回(通算第160回)総会・学術大会が滋賀県立琵琶湖博物館で開催されました。参加者は2日間で45名と多くの方が参加し、盛会に終わりました。今回は、前回に続いて対面での実施となり、講演会、総会、一般講演が行われました。
5月31日は、正午から午後1時40分まで運営委員会が開催され、その中で今年度からの新たな運営体制案が検討されました。
午後2時から5時まで講演会「哺乳類化石の食性・古生態復元」が行われました。東京大学学院・新領域創成科学研究科の久保 麦野さんからは歯牙マイクロウェア三次元形状解析による食性推定の方法が紹介され、京都大学の富谷 進さんからは哺乳類化石から環境史と生態史を復元する最新の研究方法が紹介され、最後に琵琶湖博物館の半田直人さんから日本の鮮新世-更新世のサイ科化石の概要が紹介されました。講演会は3名の講師が講演時間50分をかけて細心の研究を丁重に紹介され、大変興味深いものでした。
その後、草津駅近くのトラットリア デラ・メーラ&ホールノッツェというレストランで24名の方が参加して懇親会が行われました。
6月1日の一般講演では、午前と午後に総会をはさんで、12名の方がそれぞれ化石に関する研究を発表されました。それらには、赤色チャートの年代と色調との関連性、鮮新統の腕足動物化石、浮遊性有孔虫化石による生層序、上部中新統のイタヤガイ化石、上部白亜系のクモヒトデ化石、上顎大臼歯にみられる癒合歯の組織構造、条鰭魚類のガノインの形成、竜脚類の大型化の原因、デスモスチルスの咬頭形態、台湾から発見されたデニソワ人の下顎骨、回旋筋群と排骨筋群の起源と進化など、多岐にわたりました。
2日間の講演会と一般講演ともに活発な議論が行われ、有意義な集いとなりました。琵琶湖博物館の半田直人会員、山川千代美会員、高橋啓一会員には、講演会の企画だけでなく、総会の準備や懇親会の予約、当日の設営・運営など大変お世話になりました。改めて厚く御礼申し上げます。
(柴 正博)
プログラムは,化石研ニュース 153号 をご覧ください。
第42回(通算第159回)総会・学術大会の報告
2024年6月1日(土)~2日(日)に第42回(通算第159回) 総会・学術大会が早稲田大学・早稲田キャンパスで開催されました。参加者は2日間で73名と多くの方が参加し,盛会に終わりました。
今回は,完全に対面での実施となり,シンポジウム,総会,一般講演,および「平山化石コレクション」の見学などが行われました。
1日は,午後1時から5時までシンポジウム「白亜紀脊椎動物の古生物学的研究の現在と未来」が行われ,6名の講演者から,岩手県久慈市と野田村に分布する久慈層群(中生代後期白亜紀)から発見された多様な脊椎動物化石(サメ類,カメ類,トカゲ類,ワニ類,恐竜類,哺乳類など)や地層の放射性年代について最新の研究成果が紹介されました。また「首長竜」の俗称で知られる海生爬虫類の鰭竜類については,その独特な遊泳様式が関心を集めました。その後,1時間ほど平山会員の化石コレクションを見学。レストラン・グッドモーニングカフェに移動して,41名が参加して懇親会が行われました。
2日の一般講演では,8名の方がそれぞれの研究を発表され,哺乳類の比較機能形態学やナウマンゾウの臼歯の時代変異,埋没林の化石フロラと化石ファウナ,イトマキヒトデ化石,デスモスチルスの歯,ニホンザルの歯のセメント質における年周期成長線,歯のエナメロイドについてなど多岐にわたりました。
2日間のシンポジウム・個人講演ともに活発な議論が行われ,有意義な集いとなりました。また,今回の総会・学術大会に参加された方のうち7名が新たに入会されました。
早稲田大学の平山 廉会員には,シンポジウムの企画だけでなく,コレクション見学の準備や懇親会の予約,当日の設営・運営など大変お世話になりました。改めて厚く御礼申し上げます。
(名取和香子)
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会場内の受付の様子 |
1日のシンポジウム |
平山化石コレクションの見学 |
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懇親会は超満員 |
懇親会後の集合写真 |
2日の個人講演での討論 |
プログラムは,化石研ニュース 151号 をご覧ください。
「学芸員の重要性についての声明」を公表 2017年4月25日
創設50周年記念出版
「化石から生命の謎を解く--恐竜から分子まで」
化石研究会編・朝日新聞出版(2011年4月)
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