TOP化石研究会の紹介化石研究会とは■50周年記念総会における会長の挨拶

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50周年記念総会開会のご挨拶

化石研究会 会長 神谷英利

最終更新日:2009年6月13日

 会長の神谷です。本日は化石研究会の創設50周年記念総会にご参集いただき有り難うございます。開会に当たって一言、ご挨拶申し上げます。

 化石研究会が設立されたのは1959年11月のことで,今年で50周年を迎えました。
 私はその年は高校の2年生で地質部と言うクラブで野外見学や化石の採集などに明け暮れていましたが、 もちろんそのようなことはまったく知る由もありませんでした。
 その後、大学で地質学・古生物学への道を進むことになって化石研に入会し、その歴史についても学ぶことが出来ました。 1945年の敗戦後の社会の変化の中で、研究の世界でもさまざまな改革が行われました。 地質学の分野では1947年に設立された地学団体研究会(地団研)を 中心として、 学会や大学の改革運動が進められ、新しい視点での地球科学の研究活動が進展いたしました。 このような状況のもと、1959年5月の地団研第13回総会で行われた進化論のシンポジウムをきっかけとして、 新しい古生物学を目指す研究者が「石灰化」のテーマのもとに集まって、同年11月に設立した新しい研究組織が化石研究会であります。 古生物学だけでなく、歯学、水産学、生化学などの分野の研究者も参加して、
(1)古生態学、
(2)化石の微細構造、
(3)古生物学的進化論
の3つのテーマを活動の柱として活動を開始しましたが、 研究の早急なレベルアップを目指す立場から、趣意書には会の目的は研究であり、「普及活動をはじめ、 研究以外の活動は行いません」と明記してあります。つまり、とにかく研究を進める、と言うことが目的だったわけです。
 創設以来,決して良いとは言えない条件の中で、新しい古生物学を目指す会員の努力によって研究はめざましく進展しました。 石灰化に関わる硬組織の微細構造の分野では世界をリードする研究成果も数多く公表されました。 それらの研究の拠点になったのは、東京教育大学理学部の大森研究室と資源科学研究所でした。 1977年には第3回国際生体鉱物研究集会 The 3rd International Symposium on Biomineralization(賢島シンポジウム)を 日本で開催するまでになり、1990年には第6回(小田原)、2001年には第8回(新潟)の国際生体鉱物研究集会と、 昨年までに10回開催された国際集会のうち3回を日本で開催する上で化石研究会の会員が原動力となって来たのであります.  発足から半世紀がすぎ、日本をめぐる社会情勢の中で研究の世界も大きく変化しました。 かつて化石研の研究の拠点となった上述の2つの研究機関はすでになく、 今は歯学系などの私立大と各地の公立博物館が重要な研究拠点となっています。 いわゆるマクロの分野においても、古生態や形態学の研究が進み、近年では日本の脊椎動物化石の研究において、 化石研の会員が相当に重要な役割を果たしております。

 以上のような経過・歴史の上に立って、化石研究会は本日創立50周年記念総会を迎えているわけであります。 今回の討論会では化石研の創設時のテーマである、古生態学、化石の微細構造、古生物学的進化論の3つの領域から その成果を発表していただくこととなりました。そのほかに、展示会と会員の個人研究のポスター発表、記念祝賀会、 また研究成果をまとめた本の出版といろいろな企画があります。
 第1回例会の写真には22名の方が写っておられますが、すでに半数の方が他界されています。 創設に中心的な役割をなされた井尻正二さんは、10年前の1999年に亡くなられましたが、 現在、この会場の鶴見大学に骨標本として保管されています。
 別館の特別展示会ではその井尻さんの骨標本が展示されています。同じく、化石研の創設に関われた地質学者の藤田至則さんも、 骨標本として展示されています。ぜひ、科学の鋭い目で観察していただきたいと言うのが出展者のお気持ちのようです。 創設以来、たゆみない努力によって,多くの研究成果を蓄積して来られた先輩諸兄姉に敬意を表するとともに、 今後も若い会員の手によりそれがさらに発展することを期待してやみません。

 大変簡単ですが、以上で開会のご挨拶といたします。